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ご家族の方へ

ご家族が受診へ導くことの大切さ

精神科医が支援できる人や状況は、実はかなり多いものです。
単純な不眠から、統合失調症などの疾患、認知症など加齢に伴って生じてくる問題、環境への適応における悩みなど、
精神科の医療がお手伝いできることは、皆さんが思うよりも幅広く、多彩です。
しかしその一方で、近年精神科への受診に対するハードルは以前より低くなったとはいえ、
受診をためらったり拒否される方が多いこともまた事実です。

なぜ受診を嫌がられるのか

患者さんが受診を嫌がる理由は様々です。
例えば「自分は病気ではない」と思っている(自分が病気であるという認識がない)、あるいは「少し疲れているが、診察を受けるほどではない」(重症度が把握できていない)「精神科に行くと薬がたくさん処方されて、やめられなくなる」(精神科に対する偏見)などがあります。

受診を勧めるにあたって

ご本人への説得のために知っておいていただきたいことは、まず「受診したからといって必ず病気と診断されるわけではない」「必ず薬を処方されるわけではない」ということです。精神科の病気は身体の病気と比べても、それが病気なのかどうかわかりにくい面があります。そのため、「病気かな?」と思って受診されても、実際には病気というほどではない普通の反応であると判断されたり、反対に自分ではなんでもないと思っていても、周囲の人に勧められて受診してみたところ、治療の必要がある状態であったということがあり得ます。
ですからまず受診していただく目的は、すぐに治療を始めるということではなく、まずそれが治療すべきものであるかどうかを「見分けてもらう」ことにあると言えます。
ご本人が受診を嫌がられる場合でも、「あなたは大丈夫と思っているかもしれないが、念のために今の状況を聞いてもらって、心配ないことを確認しましょう」という言い方で勧めていただけば、受診に応じていただけることもあります。

ご本人のつらさに共感することが大切

また、たとえばご本人のおっしゃっていることが周囲の人には理解しがたいものであったり、とても事実とは思えないような内容であったとしても、そのことを完全に否定するのではなく、「それが事実かどうかはわからないけれども、あなたがそのことで辛い思いをしていることはわかります。病院に行けばそれに対する解決法を、なにか教えてもらえるかもしれません」とお勧めすることはできます。

精神保健相談もご活用ください

これらの方法で説得してもなお、ご本人が受診を拒否されることもあります。その場合は、まずはご家族だけでも相談に来ていただくことが可能です。原則的に当院は往診は行っておらず、あくまでもご相談のみにはなりますが、上記のような内容に加え、より実際の状況に即したアドバイスをお伝えすることができるかもしれません。
ご家族でのご相談を希望される場合には、当院にお電話の上、受付に「精神保健相談を希望」とお伝えください。